住宅街の空き地で、女児の遺体が入った段ボールを発見。

広島小1女児殺害事件とは、2005年(平成17年)11月22日に広島県広島市安芸区矢野西で帰宅途中の女子児童がペルー人の男によって強制猥褻のうえ、殺害された事件である。
事件発生当初から、2004年に発生した奈良小1女児殺害事件との類似性が指摘され、ワイドショーを中心に「フィギュア愛好家のオタクによる性犯罪目的の犯行」とする説が唱えられた。
だが逮捕された容疑者が「オタク」とは全くかけ離れた存在だったことから、無責任なマスコミの報道を非難する声が相次いだ。
事件概要、犯行動機

2005年11月22日午後0時50分ころから同日午後1時40分ころまでの間、ペルー国籍を有していた外国人、ヤギ・カルロス(以下、ヤギと表記)は、広島市安芸区矢野西内で、声をかけた女子児童(当時7歳、以下、女児と表記)に劣情を抱き、わいせつな行為をしようと考えた。
ヤギは女児に近づき、女児の陰部内に手指を挿入するなどした上、発覚を免れるため女児を殺害しようと考え、片手で女児の頚部を締め付けるなどして女児を頚部圧迫により窒息死させた。
また、ヤギは犯行発覚をおそれ、死亡した女児を段ボール箱に入れて空き地まで運び、死体を遺棄した。
犯人特定から起訴へ
女児が入れられていた段ボール箱から犯人は東広島市内のお店でガスコンロを購入した人物ということで捜査が進められた。
その後、「犯行当日、ヤギがアパートの前の石段に座ってXと向かい合っているのを見た」などという証言などから犯人としてヤギが浮上し、2005年11月30日、三重県鈴鹿市の親族宅にいたところを逮捕された。
なお、逮捕直後のヤギ方の捜索により、上記段ボール箱に入っていたと思われるガスコンロが発見、押収された。
逮捕後の捜査で、ヤギは、本名を偽って日本に入国したことに加え、在留期間を過ぎても日本に滞在し続けていたことが判明し、この事実と併せて、強制わいせつ致死・殺人罪、死体遺棄罪、出入国管理及び難民認定法違反で起訴された。
判決
2006年7月4日、第一審の広島地方裁判所では、検察側の死刑求刑に対し無期懲役が言い渡された。
これを受けて検察側、被告側の双方が控訴した。
広島高等裁判所は「審理が尽くされていない」として控訴を棄却。審理を第一審に差し戻した。
実は、第一審は、2009年5月から始まる裁判員裁判のモデルケースとされたもので、事件が重大だったにもかかわらず初公判から2か月足らずで判決にまで至っていた(初公判前の公判前整理手続は8回行われています)。一審の審理の拙速さを高裁に指摘された形となりました。
結局、差し戻し後の広島高等裁判所は、2010年7月28日、判決で一審の「無期懲役」の判決を支持し、検察側、被告人側の双方が上告しなかったことから判決は確定しています。