走る凶器が奪った命。命はスマホより軽いのか。
交通事故によって愛する家族を突然失うことは、遺族に多大な精神的苦痛を与える。いかなる形であっても、死はその身近な人にとって苦痛で耐えがたい思いを強いるものであるが、病気と異なって事故の場合は突然で予期しない形で現れ、また、加害者が存在しなければ起きなかったという気持ちから、死を受け入れにくくなり、複雑な葛藤を生み出すことになる。
https://www8.cao.go.jp/koutu/sien/tanto-3-03.html
そんなことはわかっている。
それをわかった上で、危険運転致死傷罪ではないと、そういうのだろうか。
事件概要
2018年9月10日夜、新潟県南魚沼市の関越自動車道で、バイクを運転していた同市の会社員、井口百合子さん(39歳)が、スマホで漫画を読みながらワゴン車を運転していた元運転手の男に追突され死亡した。ドライブレコーダーには追突の約16秒前から百合子さんのバイクの尾灯が映っており、前方を注視していれば起こるはずのない事故であった。
百合子さんは時速100キロで走っていたとみられる後続のワゴン車に追突され、はねられた後、さらに後続の乗用車にもはねられていた。手袋やブーツは脱げ、ヘルメットも外れていた。病院に運ばれたが、「手の施しようがない」と告げられた。ほぼ即死だった。
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20181228441622.html
時代に追いついていない法整備
自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪で懲役3年の有罪判決だった。
たった3年である。
遺族の苦しみは一生なのに、である。
自動車運転処罰法の最高刑は、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)である。
しかし、今の法制度では、ながらスマホはこれに適用されないのだ。
一瞬のわき見運転と、16秒間スマホで漫画を読む行為が、同じ罪として裁かれる。
同じ鉄でできた包丁で人を刺せば殺人である。
もちろん、故意に刺せばの話ではあるが、「ながらスマホ」は故意ではないのだろうか。
法的にはこれが「故意」ではないと扱われるのが現状だ。
どう考えてもおかしい現在の状況に巻き込まれるのは、
明日のあなたや、あなたの大切な人かもしれません。