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東京都江東区「アポ電(闇バイト)」強盗殺人事件 「よっしゃー!」と一審判決で歓声を上げた実行役に無期懲役

特殊詐欺のアポ電が強盗殺人、被害に遭わないよう呼び掛け強める

2019年2月28日、東京都江東区東陽の自宅マンションで一人暮らしをしていた加藤邦子さん(80歳)が所持金について確認するアポイントメントの電話を受けた後に殺害された。

強盗殺人等の疑いで無職の須江拓貴(22歳)、土木作業員の小松園竜飛(27歳)、無職の酒井佑太(22歳)が逮捕された。

東京地裁の一審判決で無期懲役が回避されると、須藤は「よっしゃー!」と叫んだ。

その後、2024年10月22日、東京地裁(差し戻し審)にて求刑通り3人に無期懲役が言い渡された。

犯行の経緯や動機

犯人グループのリーダーである須江は去年まで長野県佐久市の自宅に住んでいた。酒井とは高校の同級生である。

須江は背中一面と肩に刺青があり、地元の長野で暴走族に入っていたが18歳頃に抜け、更に窃盗、恐喝、傷害等を日常的に行うようになった。

過去にも逮捕された経歴があり、2016年8月にはすでに住居侵入や窃盗の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けている。

また2018年10月には、交際相手に対するDVとストーカーの容疑で逮捕されている。

2019年2月28日午前、犯人ら3人は加藤さん宅に侵入して手足を粘着テープ等で縛り、口を粘着テープで塞いだ上で殺害。金品の発見には至らず、証拠隠滅のためインターホンを破壊して逃走。加藤さんの死因は窒息死とみられる。

同日午後、ケアマネジャーの女性が部屋を訪れて遺体を発見。マンションの防犯カメラに犯人グループの3人組が出入りする様子が残されていた。

事件前、被害者の加藤さんは「お金はありますか」という不審な電話を受けたと知人男性に相談しており、これが、強盗の標的となる家の資産を確認する「アポ電」だったと思われる。

2019年に入り、渋谷区の高齢者宅でアポ電の後に3人組の男がインターホン越しに来客を装って玄関を開けさせて押し入り、住人の手足を縛って室内を物色し現金などを奪う同様の強盗事件が2件発生していた。

車両の通行記録の一部が渋谷区で起きた同様の手口の強盗事件と共通している。

犯人らは神奈川県を経由して長野県に逃走したが警視庁により強盗殺人の容疑等で逮捕された。

調べに対し3人は容疑を否認。また事件当日の未明に長野県内の店舗で起きた窃盗事件にも関与した疑いがあることが判明、警視庁は渋谷区で発生した2件の強盗事件との関連を含めて捜査。

判決とその後

2019年4月4日、東京地検は3人を強盗致死と住居侵入の罪で起訴。

その後、須江と小松園は同時期に渋谷区で起きた強盗事件において再逮捕。余罪を追求された。

アポ電を利用した犯行は元々振り込め詐欺等の特殊詐欺で被害者を騙す際に用いられていた手口で、須江らの起こしたアポ電強盗は、その手口から派生した犯行の一つと見られており高齢者への呼び掛けを強化した。

2021年3月9日、裁判員裁判が行われ、東京地裁は須江拓貴(ひろき)被告(24)に懲役28年、小松園竜飛(たつみ、29)、酒井佑太(24)の両被告に懲役27年(求刑はいずれも無期懲役)の実刑判決を言い渡した。

この時、須江被告は法廷で「よっしゃー」と歓声をあげた。

その後、東京高裁が一審判決は不合理と指摘し、審理のやり直しを命じた。

そして、2024年10月22日、差し戻し審で東京地裁は「首を圧迫する暴行は間違いなく認められる。被害者は被告人らの暴行が原因で死亡した」と認定し、求刑通り須江被告ら3人に無期懲役の判決を言い渡した。

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