事件・事故

東村山警察署旭が丘派出所警察官殺害事件(清瀬市警察官殺害事件)

奪われた拳銃の行方が分からぬまま、現在も捜査が続く未解決事件

1992年2月14日午前3時20分、東京都清瀬市朝日ヶ丘丁目の東村山警察署旭ヶ丘派出所で大越晴美巡査長(当時42)が強盗に首や胸を刺され血を流しているところを、近くを偶然通りかかった新聞配達員が発見した。

通常交番は2人体制で待機するが、事件当時もう一人の警察官は別件で派出所を不在にしており、その隙をついて巡査長のみを狙った犯行であった。

巡査長の遺体からは実包5発入りの拳銃が奪われており、拳銃の行方は今現在も知れておらず捜査が続いている。

犯行の経緯と詳細

事件当時、殺害された大越晴美巡査長と警察官は2人1組で待機していたが、相手の警察官は通報を受け別件の対処のために現場へ向かっていた。こうして大越晴美巡査長は交番に1人きりになり、犯人はその隙を狙って犯行に及んだとみられている。

仕事中、派出所の前を偶然通りかかった新聞配達員が派出所のガラスが割られていることに気が付き不振に思い派出所に近付いた。すると首と胸を刺されて倒れている大越晴美巡査長を発見し驚愕する。

派出所のストーブの上には大越晴美巡査長の制帽が置かれており、少し焦げ跡がついていたことから、すでに犯行から少しの時間が経っていたことが分かった。

その後、大越晴美巡査長は、新聞配達員の通報により病院に搬送されるが、1992年2月14日午前4時に死亡が確認された。

大越晴美巡査長の遺体からは、業務で使用する拳銃(S&Wチーフスペシャル実包5発入り)が奪われており、その後その拳銃を使用しての第2の犯罪が警戒されていたが、今日に至るまで拳銃は発見されておらず、第2の犯行も起きていない。拳銃の捜索に関しては今現在も継続して行われている。

捜査

事件後、警視庁はこの事件を強盗殺人事件として取り扱い、捜査本部を設置した。殉職した大越晴美巡査長は、当日付けで警部補に二階級特進し、さらに東京都知事から知事顕彰として顕彰上と見舞金100万円が贈られた。

その後の捜査では、派出所の机の上に管内の住所が書かれた「警察参考簿」が出ており、紙に道案内の地図も書かれていたことが分かっており、犯人は道を尋ねる人物を装い油断させたうえで犯行に及んだことが分かっている。また、司法解剖の結果、死因は首の左側を刺されたことによる頸動脈損傷と判明した。

大越晴美巡査長の遺体からは拳銃を腰に装着するための紐が切られていた。このことから鋭利な刃物で犯行に及んだとみられている。

本事件の約3年前に練馬区で発生した中村橋派出所警官殺人事件の際に、犯人が警官から拳銃を奪い他の場所で強盗に及ぶつもりだったと供述していたことから、盗まれた拳銃を使用した第二の犯行が警戒された。

しかし、その後当該の拳銃を使用した事件は起こっていないことから、銃の愛好家・マニアによる犯行であるという説も出たが現在に至るまで拳銃の行方は知れない。

派出所近辺の住人への聞き取り調査では、事件当日服に血を付けた2人組を見たなどの目撃証言もあったが、単独による犯行か複数人による犯行かは判明しておらず拳銃を含む犯人の遺留品も見つかることはなく捜査は難航した。

そして、事件から14年経った2006年2月14日、公訴時効まで1年となったところで、東村山署防犯協会は犯人逮捕に対して最も有益な情報を提供した者に懸賞金300万円を払うことを発表した。しかしその後、犯人検挙はおろか有益な情報さえも得られぬまま2007年2月14日0時、事件から15年の月日が経ち公訴時効を迎えた。

事件後の捜査と犯人の詳細

事件が起きた東京都清瀬市は埼玉県と東京都の県境付近にある地域で交通量が非常に少なく、犯行現場を直接目撃した人物はいなかった為捜査が難航した。

しかし、事件前に犯人らしき人物が事件現場である東村山警察署旭ヶ丘派出所にて、本事件の被害者である大越晴美巡査長と会話をしているところを目撃したという有力な情報が入った。

犯人らしき人物の特徴は高身長(175cm程度)の男性で、黒いジャンパーを羽織っていたという。大越晴美巡査長の身長(165cm程度)と比較すると10cmほど高く、体格差は一目瞭然であり、この男に襲われたとすると抵抗は困難であることが想像できる。

事件前後の目撃情報などから、この男が犯人である可能性が非常に高いと考えられた。また、本事件で使用された凶器は被害者の傷口の深さや形状などから、刃渡り9cmほどの手作りの刃物である可能性が高いと判明した。

その後

犯人の特徴や凶器に使われた刃物の特徴、また拳銃が奪われていることが明らかになっていながら、その他に有益な情報が得られず、殺人事件としての捜査は時効を迎え打ち切られた。しかし、奪われた拳銃の捜索は現在も行われているが犯人の行方は掴めぬままだ。奪われた拳銃による第2の犯罪発生の防止のため、また大越晴美巡査長の無念を晴らすために、一刻も早く犯人逮捕への道が開けることを願うばかりだ。

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