のどかな集落で隣人トラブル、少年が一家全員殺傷
2000年8月14日午前2時50分、大分県大野郡野津町において、県立高等学校に通う少年(15才)が、隣家へ風呂場から侵入し、サバイバルナイフを使用して寝込みを襲い、3人が死亡、1人が重体、1人が重傷、1人が軽傷を負った。
事件当日に殺人・殺人未遂の容疑により逮捕され、逮捕後は反省の言葉を口にしている。
犯行の経緯や動機
被害者宅と加害者宅は隣家で、加害者の少年も含め親しい付き合いをしていた。
被害者宅には母屋と離れがあり、家族はそれぞれの部屋で眠っていた。
兄の部屋からサバイバルナイフを持ち出して被害者宅の小屋に隠れ、一家が寝静まるのを待ち、母屋の風呂場の窓を割って被害者宅に侵入した。
少年は離れに直行、長男(13才)を刺殺、母親と長女(16才)を刺して母屋へ戻り、祖父母夫婦を刺した。そして離れに戻る途中で、逃げていた二男(11才)を刺した。
被害者宅の電話線を引きちぎり、自宅の倉庫から混合油の入ったポリタンクとライターを取りに行き、被害者宅の玄関先に混合油をまき散らして火をつける。しかし火事にはならず、玄関の一部を焼いて鎮火した。
祖母と母親、長男の3名が死亡、祖父の頬の刺傷は脳へ、次男の刺傷は心臓に達し、長女は背中に深い傷を負ったものの一命を取り留めた。
被害者宅では2000年、下着の盗難等が発生しており、同年8月2日深夜、祖父が風呂場の窓に細工をしている加害少年を見つけ、少年は逃げ出す。
6日に祖父が少年の両親に苦情を申し立て、少年は被害者宅の風呂を覗いたと疑いをかけられて父親に厳しく注意、被害者宅全員から無視された。
これらを恨んでの犯行とされるが、実際に風呂を覗いたかどうかは不明で、少年は煙草を吸っていただけで、風呂は覗いていないと自供している。
判決とその後
刑事処分の可能年齢を16才から14才に下げた改正少年法成立前の事件であり、15歳の少年は刑事責任を問われなかった。
2001年11月、被害者遺族が2億4000万円の損害賠償金を求めて民事訴訟を起こすが、被害者遺族側が約83万円の印紙代を工面することができず、一度却下される。
その後簡易裁判所に再度申し立て、2003年、被害者遺族と犯人の両親の間で、半年に一度犯人の反省状況を遺族に伝えること、総額2億4000万円になるまで毎月6万円の賠償金を払うことで和解が成立した。
加害少年は精神鑑定により、重症の小児期発症型行為障害と診断、精神病ではなく、責任能力はあるとされる。
2000年9月、少年は大分少年鑑別所に収容、同年12月に保護処分が決定。行為障害の治療と教育のため、医療少年院へ送致される。
2002年10月、医療的措置が終了し、特別少年院に移送された。