マネージャーを名乗る謎の男、真相に迫るも犯人逮捕には至らず
2000年9月29日、東京都江東区亀戸のマンションで、若い女性の腐乱死体が発見された。
その後の司法解剖で、亡くなっていたのは吉田陽子さん(当時28歳)と判明したものの、死後10日以上が経過しており、歯型によって身元を確認しなければならないような状況だったという。
死因は窒息死と判明。部屋には物色された形跡がないことから、交友関係を中心に捜査が進められたが、陽子さんは同人漫画作家であり、交友関係も広かったことから捜査が難航し、2020年9月現在まで未解決事件となっている。
事件の経緯と詳細
2000年9月29日午後1時ごろ、東京都江東区亀戸6-55-10の「レック亀戸グリーンマンション」604号室、漫画家吉田陽子さん(当時28歳)方で、陽子さんとみられる若い女性がマットレスの上で死亡しているのを同マンションの管理人らが発見、「女性が死んでいる」と110番した。
首に絞められたような跡があり、警視庁捜査一課と亀戸署は殺人事件として城東署に捜査本部を設置。
死後10日以上たっているとみられ、身元確認が急がれた。
警察発表によると、洋子さんは下着姿で洋間のベッドの上にあおむけに倒れており、目立った外傷はなかったという。
また、室内に荒らされた様子はなく、部屋には陽子さんの財布や通帳、キャッシュカードが残されていた。
さらに、発見時、玄関のドアはかぎが掛かっておらず、換気扇が回っている状態だった。
吉田さんは事件の5年ほど前(平成7年頃)から同室に1人暮らしだった。
近くに住む家族によると、自宅を仕事場にして漫画をかき、収入を得ていたという。国勢調査員が26日から3日連続で、吉田さん方を訪れていたが応答がなく管理人に連絡。部屋から異臭がしたため中に入ったとのこと。
遺体は腐乱が進んでおり、同本部は歯型を照合して身元の確認を急いだ。
生存の痕跡
2000年9月30日、警視庁城東署捜査本部の調べで室内に9月18日付のレシートがあったことが判明。
また、司法解剖の結果、女性はこの部屋に1人暮らししていた吉田陽子さんと確認・断定された。
死因は首を絞められたことによる窒息死だった。
このため、捜査本部は18日までは生存していたとみて、同日前後の行動や交友関係などについて捜査を行った。
特に、室内に物色された形跡がないことなどから、陽子さんの友人らから事情を聴くなど交友関係を中心に捜査が進められた。
吉田陽子さん(杉崎くうる)について
9月30日までの調べで、陽子さんは「吉田夜子(ようこ)」「杉崎くうる」(2000年10月1日発行の朝日新聞東京版・朝刊では「杉崎クール」と表記)などのペンネームで漫画の同人誌(主としてBL作品)を自費出版し、東京のほか、北海道や大阪のコミックのイベント(コミックマーケット)などで販売するなどしていたことが分かった。
また、同日までに別のアルバイトをしていた可能性があるということも判明、報道されている。
ちなみに、この「別のアルバイト」については、風俗で働いていたと、元漫画家仲間の女性が証言している。
有名な同人作家であり、また、夜には風俗業で働いていたという陽子さんの交友関係は非常に広範囲に及んだため、捜査は難航した。
また、現場マンション周辺に目撃情報を募る立て看板が設置されたが、直接の目撃情報は寄せられなかったという。
TV番組による調査・取材
事件から4年後の2004年、テレビ朝日系「奇跡の扉 TVのチカラ」で超能力者が透視を行い、そこで作成された似顔絵を元に情報を呼びかけたところ、陽子さんのマネージャーを名乗る男性Aが「手紙を預かっている」として番組に出演、手紙を公開した。
手紙の内容は上記画像の通り、外国人によるストーカー被害を匂わせるものだったが、番組が清山筆跡印鑑等鑑定会・代表鑑定人の山田修氏に筆跡鑑定を依頼したところ、手紙は陽子さんの書いたものではなく、「男性Aが書いたもの」であるとの鑑定結果が出された。
番組で、元滋賀県警鑑識課・坂本啓一氏同席のもと、この事実を男性Aに問いただしたところ、男性Aは手紙を自分で書いたことを自白した。動機については、「(陽子さんは)サークル内で妬まれていた。みんな反感をもっていた。(そういう妬み心が)自分にもあったから書いた」というものだった。
また、男性Aは手紙の内容について、同番組で超能力者が透視したとする内容になぞらえて手紙を作成したとした。
また、同番組に寄せられた情報の中で、似顔絵そっくりで事件直後に失踪した男性が居たことがわかったが、こちらもその後については報じられていない。
事件に関する情報はこちらまで
警視庁では、下記の通り、現在でも情報提供を求めている。(詳細はリンク先をご参照下さい)