LINEの書き込みが原因で、少女を集団暴行で殺害。
広島少女集団暴行殺害事件とは、広島市の専修学校の女子生徒が2013年6月28日未明に少年少女ら7人に暴行された末に殺害、遺棄された事件。「広島LINE殺人事件」、「広島呉少女殺人事件」とも呼ばれる。
事件の概要と経緯
広島市の専修学校の女子生徒が、無料通信アプリ「LINE」で書き込んだメッセージに友人の少女Aが立腹。仲間ら少年少女合計6人と共謀して2013年6月28日、女子生徒を集団暴行の末に殺害。遺体を広島県呉市にある灰ヶ峰に遺棄した。
加害者と判決
少女A(16)と少年A(16)、少女B(16)と少年B(16)は交際関係。
少女C・D(16)は初対面で、呼び出し役を担当。 男C(21)は唯一の成人。
少女A
事件の主犯格で、当時16歳。両親が離婚後、厳しく育てられ、虐待、母親の交際相手から性的虐待を受けていた。 事件の約40日前に家出をし、少年A、少年B、少女Bと共同生活を送っていた。 被害者の女子生徒とは、かつて専修学校で同級生だった。 2014年10月24日、広島地裁(伊藤寿裁判長)は、少女Aに懲役13年の判決。 2015年3月30日、広島高裁(高麗邦彦裁判長)は、一審判決を支持し、被告側控訴を棄却。 少女は期限までに上告せず、懲役13年が確定する。
少女B
少年Bの交際相手で当時16歳。2013年10月、中等少年院送致が決定。
広島家裁は、3年程度の長期間の指導を勧告。
少女C、D
広島県安芸郡と呉市に在住しており当時16歳。
2人は少女Aや女子生徒と初対面だった。
LINEの書き込みを閲覧して少女Aと連絡を取り、呼び出し役を買い、「遊びに行こう」と女子生徒を呼び寄せた。
2013年10月、中等少年院送致が決定。
「激しい暴行や殺害行為には加わっておらず、関与の程度は相対的に低い。矯正可能性は十分ある」とされた。
少年A
少女Aの交際相手で当時16歳。
2014年12月2日、広島地裁(伊藤寿裁判長)は、少年Aに懲役10年の判決。
2015年6月30日、広島高裁(高麗邦彦裁判長)は、一審判決を支持し、被告側控訴を棄却。
少年B
少女Bの交際相手で当時16歳。
2013年10月、中等少年院送致が決定。
広島家裁は、「相当程度の長期間の処遇・指導をすべき」として4年程度の長期間の指導を勧告。
男C
唯一成人しており当時21歳。
2014年9月10日、広島地裁(伊藤寿裁判長)は、男Cに懲役14年の判決。
2015年3月26日、広島高裁(高麗邦彦裁判長)は、一審判決を支持し、被告側控訴を棄却。
事件の経緯
2013年6月27日深夜、犯行の引き金はささいなことだった。
「都合がええやつ嫌い。からまん方がええよ」
少女はLINEのグループチャットに女子生徒についてこんな書き込みをした。そこに女子生徒が
「(私も少女Aが)嫌いじゃね」
と返したことから、少女Aが立腹。
このときの心情について、少女は被告人質問で「言わしてやろう(文句を言って謝らせよう)と思った」「しばく(暴行する)とは漠然と考えていた」と述べ、殺意は否定した。
6月28日未明、LINEのやり取りを見て合流した広島県内の少女に、「遊びに行こう」と女子生徒へLINEでメッセージを送信させた。
同日午前4時10分頃、広島市中区の待ち合わせ場所に現れた女子生徒は、呼び出し役の少女C・Dらが乗るワゴン車に乗り込んだ。
その直後、隠れていた少女Aらが車に乗り込んで逃げ道をふさぎ、車を発進させた。
※暴行の詳細は後述。
午前5時頃、バッグから現金約4万4千円とキャッシュカードを奪った。
午前6時頃に、山中で少女Aと少年Aら2人が女子生徒の首を絞めて殺害、全員で遺体を遺棄した。
同日、16歳女子生徒の家族が捜索願を警察に提出。
このとき、被害者とみられる少女が行方不明になった後に、通院していた病院に予約が入っていたとの事。警察は逮捕された少女らが生きているように見せかけた可能性があるとみている。
7月上旬、少女A、灰ヶ峰に遺体を確認しに行く。
7月11日、少女A、「元同級生からLINEに悪口を書き込まれ、殺害した」と自分の母親に自供。
「うちが殺したんよ。明日、自首しに行く」
7月12日昼、少女Aと母親が東署へ出頭するも、遺体が見つからず、13日午前に再び署を訪れるよう求められ一時帰宅。同日夕方、広島県警は灰ケ峰を捜索。
7月13日朝、少女Aは逃走を図るも失敗。東署に任意同行。
「いましらべたら10~15年で最悪無期懲役あだってーもお死んだがましじゃんね。いや、ものがみかったら留置いって、とくしょう(特別少年院)行くけどまだみつからんけん家にかえとんぢゃけど、逃げたいんよね…」 「ものって?」 「したい。ねー、お金もはらうし、出来る範囲ならなんでもするけんさ、誰か足おらん…」
7月13日午後5時20分頃、「灰ケ峰公園」の東側の歩道を約20メートル入った山中の斜面で、若い女性の遺体を発見。広島県警は呉署に捜査本部を設置。
7月14日未明、死体遺棄容疑で主犯少女A逮捕、携帯電話を押収。
7月23日、県警呉署捜査本部は、歯の治療痕と骨のDNA型鑑定の結果、遺体は広島市安佐北区、高等専修学校2年の16歳女子生徒と判明したと発表。
7月27日、現場から北東に約80キロ離れた広島県庄原市の川で16歳少女のバックが見つかったことが分かる。
暴行に関する供述内容(少女Aによるもの)
- 「怒りが頂点まできていたんで、えりかの胸ぐらを掴んで“われ言いたいこと言ってみいや”と怒鳴ると、えりかは“はなせや!触んな!”と叫んだので、だいすけ(少年A)に“ここではやめろ”と言われたので、一回深呼吸しました。そして車を出発させました。」「そのときの車の席順はわかりますか?」「はい。運転席に瀬戸さん。助手席にはだいすけ。助手席のうしろには〜…」
- 「車が発進したあと、ヘッドレスを外して座席を倒して、マットレスのような状態にしました。」
「あやのがえりかの上に馬乗り状態になり、殴っていました。私は右手で髪の毛ひっぱったり。助手席からだいすけが身を乗り出し、ライターで足をあぶっていました。」 - 「車はどこへ向かったんですか?」
「海か山がいいねって話になりました。」
「それはなんで?」
「人気がないからです。」
「海なら宇品港か広島港にしようやって話がでましたが、すぐポリが来るらしいと噂があったんで却下。それに、海で死体を遺棄すれば浮いて来るから山にしようと。」 - 「車は途中どこにも寄りませんでしたか?」
「2回コンビニに寄りました。1回目は、カッターナイフを買うために。2回目は、あやのがナプキンを買いたいと言ったので。」 - 「カッターナイフは何のために買ったんですか?」
「えりかを傷つけるためです。男子陣が買ってきましたが、それは小学生が図工とかに使うような小さいカッターナイフで、思わず“うわ!ちっさ!”って言いました。」
「どんなものを想像していたんです?」
「もっとこう、工事現場とかで使うでっかいカッターナイフを期待してました」 - 「料金所で、えりかが“助けて!!”と叫んだので、バレたらやばいと思い、顔を壁に打ち付けました。そのあと、車内にあったタオルを口に巻いて、黙らせました。」
「根性焼きもしました。右のこめかみ、右耳、太もも…。」 - 「財布があったんで、中身を覗くと4万円くらいありました。みんなで“ばり持っとるじゃん〜!”とかガソリン代にしようとか、はぁちゃんとなぁちゃんは、“うちらマジ金欠だったけ助かるわ〜。もうすぐ海いく予定だったんよ〜”って言って盛り上がりました」
「現金以外にカードは?」
「キャッシュカードがあったから、その中のお金も盗ろうと思いました。」 - 「“番号言えや!”って何回もいったんですけど、えりかは中々言ってくれませんでした。“そのカードにはほんまに入っとらんのんよ”とか言われて。だから、“あーもうわかった、ほいじゃあ許したるけんはよ言えや!!”と言ったら、“ほんまに!?”と言って番号を教えてくれました。」
「そのとき瀬戸さん(男C)はなにか言ってました?」
「“番号忘れそうじゃしメモっときゃよくない?”って言って、だいすけがメモしてました。」 - 「キャッシュカードの番号教えてくれたあと、“許すわけないじゃん!”と」
「最初から許す気はありました?」
「ありませんでした。」
「瀬戸さん(男C)が“バリSじゃん!!”って何度も言ってました。」 - 「ここまできたら引くに引けないな、と感じていました。」
「全員に向かって謝らせました。」
「どうやって謝らせたんですか?」
「1人1人に向かってです。だいすけには、“だいすけ本当にごめんなさい。彼女に嫌な思いさせてしまって〜…”あやのには、…りゅうやには、…」 - 「そのときの被告などんな感じでした?」
「“バリSじゃん!”“マジウケる!”というようなことをまた言ってました」 - 「車内では暴行はまだ続いてて、えりかさんの胸のあたりを出しました。」
「それはなんでですか?」
「えりかさんの胸が大きいとみんなで噂していたらから。」
「うん。で、そのあと〜…」 - 「コンビニで買ったカッターナイフで、えりかさんの腹部あたりを刺しました」
車は灰が峰に到着して、みきは車外にでます。そのとき、だいすけ(少年A)がえりか(被害少女)が口にしていたタオルを優しくとってやってる様子をみきは見てしまいます。
「だいすけが、えりかに優しくしてて本当に腹が立った」
「このままじゃ、えりかにだいすけが取られると思った。」 - 「あやの(少女B)がしていた軍手をもらい、車外でえりかを殴りました。」
「瀬戸さんはえりかのことを踏みつけたり、りゅうや(少年B)やだいすけが暴行しているときもずっとえりかさんの頭のところに立っていて様子を見ていたと思います。」
「そのときのえりかの顔は“おいわさん”みたいな感じになってました」 - 「山中に行く途中えりかさんとは会話しましたか?」
「はい」
「どんな会話をしたんですか?」
「歩きながら、えりかが、“えりかは今でもみきが大好き。出会えて後悔してない”って私に言ってくれました」
「でもだいすけがえりかに優しくしていたのを見ていたんで、その言葉にすごく腹が立ちました。そこで、“横になれや!”と言い、ナイフを手に取りました。」
「私がナイフをてにとったのをみて、だいすけは“やめろ!”と止めてくれましたが、瀬戸さんは“いけいけ!”と私に加担してました。」
このとき、暴行中にLINEでグループ40人程に実況していた人物がいた。 「耳の中に根性焼きしたら気絶したので外に放置して、みんな車に戻ってどうするか話した」と書いてことに対し、LINEを見ていた知人らが「いけいけ」「やっちゃえ」と煽った。
- 「だいすけが“やめろ!”と言うので腹が立ち、“なんでえりかをかばうん!?”という気持ちになってしまい、“腹が立つ!”“だいすけ死ねや!”と叫びました。」
「そこからは記憶が飛んでます」
「記憶がないということですか?」
「はい。覚えてません。そのあと気づいたらえりかの首を絞めていました
「一度だけですか?」
「2回絞めてた事は覚えてます」 - 「首を絞めたあと、だいすけに“かわって!”と言いました。」
「なんでだいすけにかわろうとしたんでしょう?」
「だいすけが暴力を振るったら、私を選ぶってこと。えりかを庇っら、それがえりかのことが好きだからだと思ったからです。」
「だいすけは暴力を振るいました。首を絞めた瞬間、えりかがゾンビみたいな声で“あぁ…”といったのが聞こえました。そのあとも首を絞め続け、鼻風船が膨らみ、ぱつーんと弾けました。」 - 「そのとき瀬戸被告(男C)はどこにいました?」
「ずっとえりかのそばにいました」
「だいすけと瀬戸さんで、1、2の3で斜面にえりかを投げました。」
「そのときえりかさんは死んでいたと思いますか?」
「さっきまで手が動いてるのが動いてなかったし、見た目でもう死んでると思ってました。さらに、だいすけが首の骨を折ってトドメをさしたって言っていたので、もう死んでると思いました。」
「そのだいすけの発言は被告も聞いてるんですか?」
「聞いてます。一緒にいたので。」
瀬戸容疑者(男C)に関する供述
- 「瀬戸さんのことは私たちの間では、“金魚のフン”だよねってよく話してました。
いつでもどこでも私たちのあとについて来る。
車を持っているから、本当に便利だったから“アッシー君”とも呼んでました。
鳥取で働いていたとき、りゅうやに弁当を作らせたり、本当にだらしない人でした。
最初は犯行をすべて認めていたのに、なんで途中で発言がかわるのかわかんないです。
本当のことを話してほしいと思います。」 - 「あなたと今回事件を起こした人たちについて教えてください。」
「はい。今回一緒に事件を起こしたのは、あやの、だいすけ、りゅうや、はずき、なな、瀬戸さんです。」
「その人たちの関係は?」
「だいすけは私の恋人です。あやのとりゅうやは恋人同士で、はずきとななは当日初めて会いました」
「あなたはどこで暮らしてましたか?」
「あやのの家に、私、あやの、りゅうや、だいすけ、瀬戸さんで暮らしていました。」
「被告とも一緒に暮らしていたんですね。被告のことは普段どうやって呼んでましたか?」
「“大平さん”って呼んでました。あやのとかは、“おにい”って呼んでました。」
「被告のことはどう思っていましたか?」
「えーっと、あやの、りゅうや、だいすけは私の中では本当に大事なファミリーです。だけど、瀬戸さんは、ファミリーだけれど、ほかの3人に比べれば、大事ではない。ファミリーなのはファミリーなんですけど。」 - 「ほかの3人と比べれば大事ではなかった?」
「そうですね。」
「では被告はどういう性格だと思ってますか?」
「1人じゃなにもできない究極の寂しがりやだと思ってます。」
「具体的に言うと?」
「コンビニに行くのとかでも、りゅうやとか、誰かを誘わないと行かない感じです。」
「あなたは普段どのように生活をしていましたか?」
「あやのの生活保護と、私とあやののデリヘルで稼いだお金で生活していました。毎朝4時とか5時に寝て、夕方の5時とか6時に起きる生活でした。」 - 「では事件当日のことを聞きますね。事件当日、なにをしていましたか。」
「あやの、りゅうや、だいすけ、私でカラオケに行ってました」
「そこに瀬戸被告はいなかったんですか?」
「はい。誘ってませんでした。」
「どうしてえりかさんを殺してしまおうという事になったんですか?」
「えーと、LINEのグループチャットていうのをしてたんですけどー」
「それはどういうものですか?」
「わかりやすいようにいったら2ちゃんねるみたいなんもんですね。」 - 「そこでえりかと言い合いになって。“殺したるけえの”ってかましたら“やってみぃや”と言われたんで、普段から、恋人を寝取ろうとしたり、金を返してくれなかったりしたんで、そこでもう、やろうと思いました」
「そのあと、はぁちゃんに電話をしたら、味方の振りをして、えりかを呼び出してくれるって言ったんで、熊野まで向かうことにしました」
「そこで瀬戸被告を呼ぶんですね」
「大平さんしか車を持っていないんで。本通で合流しました。」
「合流したあと、今からえりかさんをどうするとかっていう話はんしましたか?」
「しました。瀬戸さんは“むかつくなあ、はらたつよなあ”と言ってました。」 - 「瀬戸さんとえりかさんは過去に何か接点があったんですか?」
「えっと、会ったことはなかったと思うんですけど、去年の4月にえりかが自殺を計ったとき、それを3人で止めたんです。んで、あやのが“なんでこんなのことするの?”っていう感じで暴力を振ったんですけど、そのムービーを撮ってて。それをあやのが瀬戸さんに見せてて。そんなことがあったから腹立つよなあとか言ったんじゃないかなあと。あと私たちの話の中にもえりかはよく出てきてたし。」
「車内ではどんな会話をしていました?」
「えりかさんを殴っていく順番を具体的に決めていきました。そのとき、瀬戸さんも“じゃぁ俺も行く”って言ってました。」
手袋を準備していた経緯に関する供述
- 「はぁちゃんなぁちゃんと合流したあと、“じゃぁもう殺しちゃえばよくない?”って話になって、“指紋がつかんように手袋を買わん?”となり、軍手を買いました。」
「えりかさんとはどこで待ち合わせをしたんですか?」
「白島のサンクスです。はぁちゃんとなぁちゃんだけが車内に残って、残り5人はえりかから見えない壁?みたいなところで隠れました。」
「えりかが 現れたとき、一緒におじさんといたんで、はぁちゃんに、“あの変なじじぃ、やねこいやつじゃけ、どっかに行かせてえや”と電話しました」
「なんでそう思ったんですか?」
「過去にも会った事があって、そのとき”やねこいやつ”じゃなぁって思ったんです」
「やねこいやつっていうのは?」
「たいぎぃやつってことです」
「えーっと、めんどくさいやつってことでいいですね?」
「はぁ…」 - 「結局、そのおじさんは追い払ったんですね。そのあとどうしたの」
「みんなで軍手をはめて、“行くよ〜!”と言い、えりかがいる車の中に一斉に行きました」
「そこでえりかを見つけて直ぐ、“われ言いたいこと言ってみぃや〜!”と胸ぐらを掴みました。」
「怒りが頂点まできていたんで、えりかの胸ぐらを掴んで“われ言いたいこと言ってみいや”と怒鳴ると、えりかは“はなせや!触んな!”と叫んだので、だいすけに“ここではやめろ”と言われたので、一回深呼吸しました。そして車を出発させました。」
「そのときの車の席順はわかりますか?」
「はい。運転席に瀬戸さん。助手席にはだいすけ。助手席のうしろには〜…」