未遂に終わった殺人、計画を練り退院後に殺害
2010年3月に頭蓋骨骨折で入院していた私立常盤木学園高校教諭の松本秀夫さん(56歳)が4月の退院当日に自宅で撲殺された。
犯人として妻の美代(44歳)とその交際相手である不動産会社役員の松山哲士(38)歳、実行犯として寿司店「上杉」の経営者である梅原啓(27歳)が逮捕された。
犯行の経緯や動機
被害者の松本さんは私立常盤木学園高校に勤務する数学教諭をしており、宮城県仙台市泉区の自宅に妻であり加害者の美代、そして子供3人の5人で暮らしていた。
犯人の1人である松山は高校卒業後にアメリカに留学、帰国後は不動産会社の役員をしながら学習塾で英語を教えていた。
事件の約15年前に松本さんが教師として勤務しながら松山の勤務する塾で数学を教えるようになり、松本さんが不動産投資に興味を持っていたことから不動産会社に務める松山と親しくなる。更に生徒として当事件の実行犯である梅原が入塾。
梅原は高校卒業後に松山から運用資金を借りて寿司屋を出店。しかし運営が軌道に乗らず、松山への借金は数千万となっていた。
事件の数年前になると松本さんの長女と次女の家庭教師を松山がするようになり、松本さんの妻である美代とは不倫関係になる。近所では2人の仲睦まじい様子が度々目撃されていた。
2010年、美代が弁護士に離婚を相談。理由は金銭的な不満からであり、松本さんは株等で資産を持っていたが妻の美代へは隠していた。
3月1日、不倫関係にある美代と松山に命じられた梅原が近所の公園で泥酔状態にあった松山さんの頭部を木製バットで殴打。梅原は殺害したと勘違いして去るが松本さんは自力で帰宅。
松本さんは酔っ払って転倒したと話して流血したまま高校へ出勤。同僚が救急車を呼び入院となる。
入院中に美代が高校の松本さんの机から株券を持ち出している。
事件当日の4月30日、松本さんの退院に家族の迎えはなく一人で帰宅。
松本さんの立ち寄り先を聞き出した美代が松山に連絡、更に松山から松本さんの自宅で待ち伏せていた梅原へ連絡。殺害時刻には美代と松山はそれぞれ知人と会っている。
梅原は玄関先にて帰宅した松本さんの顔や頭を金属バットで複数回殴打。長男が発見して通報。死因は脳挫傷であった。
2010年8月8日、宮城県警により松山と梅原が殺人容疑で逮捕。2人の供述から8月12日に美代が逮捕された。
判決とその後
美代の裁判では殺人幇助の適用を求める弁護側と殺人罪を訴える検察側で対立。弁護側は懲役20年を求刑した。
2011年9月27日に積極的に関与したとはいえないが手助けに留まらない加担をしたとして妻の美代へ懲役11年の有罪判決が言い渡された。
2011年10月20日、松山へは懲役23年が言い渡された。弁護側が控訴するも棄却、上告した。
2011年11月24日、梅原の裁判で弁護側は松山からマインドコントロールを受けていたと主張するも、殺害の中止は可能であり、犯行は悪質であるとして懲役18年が言い渡された。