茨城県内で5年間に起きた4つの失踪・殺人事件は、同一犯(犯行グループ)の可能性があるのか
4つの事件
1999年5月3日午前8時50分ごろ、茨城県つくば市高田の山林中で、筑波大基礎工学類1年の川俣智美さん(当時19歳)があお向けになって死んでいるのを近くに住む男性が発見した。首には絞められたような跡があった。
2003年7月9日、茨城県五霞(ごか)町川妻の町道脇の側溝で、都立上野高通信制普通科1年の佐藤麻衣さん(当時15歳)が他殺体となって発見された。
麻衣さんは事件当日、埼玉県草加市の瀬崎浅間神社の夏祭り会場で、赤い服の女性と会話しているところを目撃されたのを最後に、行方が分からなくなっていた。
2004年1月30日の深夜から翌早朝にかけて、茨城県稲敷郡阿見町のアパート居住の茨城大学の女子大生、原田実里さんが殺害され、自宅からおよそ6㎞離れた美浦村舟子地内の清明川(河口付近)において遺体で発見された事件。
2004年6月20日午前6時50分頃、茨城県坂東市(事件当時は岩井市)の利根川沿いにある排水路脇の草むらで意識不明の女性・平田恵里奈さん(当時16歳)が発見され、収容先の病院で亡くなった事件。
平田さんは、鼻からとみられる出血の他、首に絞められたようなあざがあり、形状から携帯電話のストラップで首を絞められたものと見られた。
失踪・発見現場
上記の写真のように、この4つの事件は、失踪・発見現場が、半径20km以内に集中している。
また、事件当日、誰かと待ち合わせをしていたとみられることや、犯行が場当たり的であることなど、共通点も多く存在する。
犯行手口の類似性
- 短期間に茨城県と埼玉県の県境、半径20kmという近接した範囲で発生している。
- 遺体発見現場のほとんどが車でしかいけない、土地勘が無いといけない場所である。
- 衣服や携帯のストラップなどで絞殺されており、犯行が場当たり的で類似性が高い。
- 犯行当日、誰かと待ち合わせをしていた可能性が高い。
- 失踪後の足取りが不明で、目撃情報が少ないことから、車などで拉致された可能性が高い。
- 遺体からは衣服がはぎとられ、靴やカバンといった所持品が奪われている。
- いずれも、10代~20代前半の若い女性が被害者となっている。
事件当時は、いわゆる「出会い系サイト」が流行していた時期であり、女性が一人でいるところに声をかける「ナンパ」が多くあったという。
どの事件も、失踪後の目撃情報が少なく、足取りがつかめず、車で拉致された可能性が高いとみられている。
原田実里さんの事件では、犯人が逮捕(無期懲役判決)されており、外国人の犯行であったことが明らかになっているが、川俣智美さんの事件についても、自称イタリア人の目撃情報があるなど、やはり類似する点がある。
同一犯でなかったとしても、「出会い系」「ナンパ」が流行していた時代背景を加味すれば、若い日本人女性を狙った「犯行グループ」が存在したと考えることも、さほど不自然なことではないだろう。
2020年7月現在、茨城・女子大生殺害事件を除き、全ての事件がいまだ未解決事件となっている。
事件の早期解決を祈るばかりである。