コンビニで誰かと待ち合わせ。不審な車が目撃されるも、その後、手掛かりなし。
2004年6月20日午前6時50分頃、茨城県坂東市(事件当時は岩井市)の利根川沿いにある排水路脇の草むらで意識不明の女性・平田恵里奈さん(当時16歳)が発見され、収容先の病院で亡くなった事件。
平田さんは、鼻からとみられる出血の他、首に絞められたようなあざがあり、形状から携帯電話のストラップで首を絞められたものと見られた。
所持していたコンビニのレシートから、19日深夜から20日午前1時ごろまで、約3km離れたレストランで同世代の女性と一緒にいたことが判明。その後、監視カメラの映像などから午前4時ごろに向かいのコンビニに立ち寄ったこと、午前5時ごろには自転車で堺町方面に向かったことなどがわかった。
目撃情報や友人・警察への通話履歴があったことなどから、友人を含め待ち合わせをしていたと思われる人物を中心として捜査が行われたが、現在に至るまで犯人はみつかっていない。
事件の経緯と詳細
2004年6月20日午前6時50分頃、茨城県坂東市(事件当時は岩井市)の利根川沿いにある排水路脇の草むらで女子高生・平田恵里奈さん(当時16歳)がうつぶせに倒れているのを車で通りかかった男性が発見した。
平田さんは発見当時、意識不明の重体だったが息はしており、病院に運ばれたものの約7時間に死亡した。 死因は首を絞められたことによる窒息死。靴は履いてなかったが、靴下は汚れていなかった。着衣に乱れはなかったが、被害者の財布と携帯電話が無くなっていた。
また、凶器は首から携帯電話を下げていたひも状のストラップとみられた。
平田さんは6月19日21時ごろ、猿島町の自宅で兄とテレビを見た後、6月20日午前0時ごろ、ファミリーレストランに1人で入店。ここで友人の女性にメールをし、友人がレストランに来ると1時間ほど食事をしながら話し、20日午前1時36分(レシートで確認)に店を出た。
その後、平田さんはレストランの向かいにあるコンビニに入り、プリペイド携帯のカードを購入しようとしたが店に置いていなかったため公園に向かった。公園では友人と二人でもう1人の知人を1時間ほど待ったが、来なかったため再びコンビニに戻り午前4時ごろ平田さんはこの友人と別れた。
その直後の午前4時8分ごろ、平田さんはコンビニに1人で入り、「おにぎり」「缶コーヒー」「キーホルダー型工具」などを購入。この後、午前4時22分と午前4時42分に出入りしていることが防犯カメラで確認されている。 午前5時前、店員に棚の前で座り込んで携帯をいじっているのを注意され、平田さんはコンビニを出た。
5時10分、平田さんは数100m先の別のコンビニに立ち寄った。そこで、ベンチで横たわる姿が目撃されている。
午後5時45分頃、平田さんのプリペイド携帯電話から「スリにあったみたいです」と電話。数分後には「岩井警察署の電話番号を教えてほしい」と計2回110番をしており、警察では最寄の境警察署の電話番号を教えた。
その電話から約1時間後に意識不明で倒れている平田さんが発見されることになるが、その間に平田さんの身に何が起こったのかの詳細は分かっていない。
午前5時前に平田さんが退店したコンビニから600メートル離れた別のコンビニの前で平田さんの自転車が見つかっているが、このコンビニは深夜営業しておらず(開店は午前6時)、平田さんはこのコンビニまで移動した後で事件に巻き込まれたと考えられている。
また初めに立ち寄ったコンビニでは、ナイフ付工具も購入しており、待ち合わせをしていた人物に会う前にトラブルを予想し、護身用に持っていたものではないかという可能性も考えられている。
犯人像については、土地勘があり、平田さんの顔見知りの可能性が高いとして捜査が進められた。
事件のその後
6月22日になって、プリペイド式携帯電話と1万円以上の課金カードを平田さんに買い与えていたスリランカ人男性(当時36歳)が警察に「携帯電話を買ってあげたのは自分である」と出頭し、不法残留だったため逮捕された。殺害の関与も疑われたがこの男性は否定し、後に犯人でないとされた。
7月11日、平田さんが倒れていた現場から東に約350m離れた草むらで、平田さんのカバンが発見され、ノートなどが入っていたものの、財布や携帯電話は発見されなかった。
カバンはリュックサック型で、地元の土地改良区の職員が草刈りをした際、用水路の草むらで見つけ、家族などが本人のものであることを確認した。
2004年8月27日、警察は情報提供を求め、コンビニや遺体発見現場付近の4ヶ所に立て看板を設置。当時、平田さんが着用していた衣服の写真などを添付した。
2008年7月25日、堺署の捜査本部は、同市岩井で開かれた「坂東市岩井夏祭り」の会場で、情報提供を求めるチラシ入りポケットティッシュを配布した(1000個用意したが、名前の間違いが発覚、300個の配布時点で残りを回収した)。なお、この時点までに寄せられた情報は計25件にとどまった。
2009年11月15日、同市岩井で開かれた「岩井将門まつり」でチラシ300枚を配布。延べ6500人の捜査員を動員するも、この時点までに寄せられた情報は計27件と、2件しか増えなかった。
2010年7月23日、前述の「岩井夏まつり」にて、チラシ300枚を配布。この時点までに集められた情報は27件で、2009年以降、新たな情報は寄せられず、捜査は難航している。
白い軽自動車に乗っていた若い女性
ある番組で目撃情報を募ったところ、白い乗用車の女性と車に乗っていたとの情報が寄せられた。
目撃証言を元に、白い軽自動車に乗っていた女性の似顔絵を作成し、全国に情報を呼び掛けたところ、地元の視聴者から「事件前にも20代女性が運転する白い軽自動車から降りてくる平田さんを見かけた事がある。」という有力な情報が寄せられたが、この女性が誰なのかを特定する事はできなかった。
しかし、平田さんの友人を辿っていくと、当時の恋人を知っているというYさんに辿り着いた。
Yさんによると、当時の恋人は隣町に住む18歳の社会人だという。
この男性について地元で取材を進めると、「(警察に聞いた話では)犯人はトラック運転手で、事件後に失踪している。」という証言を得る事ができた。
その後、トラック運転手が務めていた運送会社で話を聞くと、彼は事件当日、仕事を休んでおり、事件の2日後以降、行方不明になっているという。
番組が総力を上げ取材すると、失踪した元トラック運転手の居場所を特定する事ができた。
この男性は、同じ茨城県内の友人の家に住んでおり、別の仕事に就いていた。
この男性に直接話を聞くと、平田さんとは面識もなく事件とは全く無関係だという。
失踪したのは以前から仕事を辞めたいと思っており、たまたま時期が重なっただけという事だった。
事件当日の20日は、家で寝ていたという。