事件・事故

香川・まんのう町女子高生殺人事件

野犬で証拠隠滅を図った可能性。バイトを辞める日に起こった悲劇

1997年3月5日、香川県三豊市に住む真鍋和加さん(当時16歳)のバイト後の行方が分からなくなり、後日遺体で発見された事件である。

事件の経緯と詳細

和加さんの遺体は、失踪から2日後の17日(後述の通り、実際に発見されたのは16日)に、香川県仲多摩郡まんのう町(旧琴南町)の山林にて発見された。

和加さんはこれまでに無断外出などはなく、行方が分からなくなった日はアルバイトの最終日。その後に誰かと会う約束をしていると言った話もなかったが、勤務中にポケベルが数回鳴っていた事が目撃されている。

事件当日、和加さんはいつものように勤務し当日は出入りも多く、和加さんが退勤するところをはっきりと覚えている人物はいなかったが、タイムカードの記録は『午後10時1分』となっていた。

午後10時過ぎ、バイトの同僚が迎えにきた家族の車に乗って帰宅する際に、コンビニから交差点を挟んだ反対側で傘もささずに立っている和加さんの姿を目撃されている。

和加さんの家族はすでに就寝していたが、翌日の3月16日午前5時頃、母親がふと目を覚まし、玄関に向かうと和加さんの『靴』がなかったため、不安になり彼女の部屋を確認したが姿は見当たらなかった。

午前10時には和加さんの友人から自宅に電話がかかっており、この日、和加さんと待ち合わせをしていた友人は約束の時間になっても和加さんが現れないために心配して電話をかけてきた。

その後、すぐに警察に捜索願を提出すると同時に手分けして和加さんの捜索を開始した。

事件が進展したのは翌日の3月17日午前9時20分、自宅から約30km離れたまんのう町の山林の中で『マネキン』らしきものが捨てられていると近隣住民から通報が入った。実際には16日に発見されていたが、通報は17日だった。

通報から40分後、地元の警察官が現場に到着し『マネキン』らしきものを確認すると、それは『マネキン』ではなく若い女性の遺体であると判明。和加さんは半裸の状態で、上半身は長袖の白いTシャツ、下半身は片足に靴下を履いていただけだった。

18日の地元新聞に身元不明の遺体が発見されたと取り上げられ、彼女の父親が連絡し確認するために警察署に向かった。

身元判明後の現場の状況

遺体の指紋と自宅にあった指紋を照合した結果、発見されたのが和加さんである事が判明し、17日の夕方に司法解剖が行われた結果、死因は首を絞められたことによる窒息死で凶器は柔らかい紐状のようなもの、死亡推定時刻は行方が分からなくなった15日の深夜である事がわかった。

また、現場に争った形跡はなく、和加さんが身に付けていたTシャツと白い靴下以外に和加さんが身に付けていたはずの腕時計やポケベルは発見されなかった。

香川県警はすぐに捜査本部を設置し情報を集めた。延べ5万6千人の捜査員を投入し、和加さんに交友関係を中心に約3万3千人に対し聞き込み調査を行い、事件前後に見かけられた『不審車両』の目撃情報を公開し、懸賞金をかけた。

その後の捜査や聞き込み調査から、和加さんの行方が分からなくなった当日の夜は小雨が降っていたが、和加さんは傘もささずに『迎えの車』も頼んでいなかった事が判明した。警察はこれを重要視しており、和加さんは誰かと待ち合わせし、その人物の車に乗り込み巻き込まれた可能性が高いと判断した。

また、彼女が発見された現場から直線距離で約18kmの場所にある朝日山森林公園の植え込みの中から、和加さんの左片方の靴が発見された。これは家族の確認と警察犬による匂いの確認の結果、和加さんの物であると判明。

遺体発見現場からはかなり離れており、土地勘のある犯人が捜査のかく乱を狙った可能性が高いとされた。

朝日山森林公園。女性レポーターの後ろ、桜の木の根元あたりの道路脇は当時植え込みになっており、そこから和加さんの左片方の靴が発見された。

この公園は小高い山にある有名なデートスポットで、夜にはドライブを楽しむカップルや若者が多かった。しかし、この公園から『ルミノール反応』はなく、犯人のものと思われる指紋やDNA、足跡、車のタイヤ痕についても情報は得られなかった。

母親は失踪当日の和加さんの予定について、和加さんが軽装であったことと上着も財布も持たずに出かけている事から、どこかに出かける予定はなかったのではないかと推測している。

本件はこの近辺に土地勘があり、特に『地元出身の人物』である可能性が高いのではと考えられた。

また、和加さんが発見された山林では野犬が多く生息しておた事から、和加さんの家族は、犯人が野犬を使って証拠隠滅を図った極めて残忍な犯行であると考え、警察にもこの情報を提供。事実として、もし発見が2、3日遅れていたら、野犬に食いちぎられて跡形もなかったとされている。

警察は靴が発見された公園が現場だったとの見解を示したが、家族の考えは違った。その理由は、靴だけ発見されて他のものは見つからず、ルミノール反応も出ていないなかった事から、捜査を撹乱するために『わざと』靴を置いたのではないかと推測した。

その後、警察は真鍋さんの足取りが途絶えてから3時間後と4時間後、真鍋さんの靴が見つかった朝日山で不審な白い車が目撃されていたことを発表した。

靴発見現場すぐ横の駐車場。ここで白のワンボックスが目撃された

ちなみに、目撃された白い車は丸みを帯びたもので、捜査本部はこの車をトヨタの「エスティマ」「エスティマルシーダ」「エスティマエミーナ」のいずれかではないかとみているとのことで、不審車両の目撃時刻は1997年3月16日の午前1時と午前2時ごろ。

和加さんの死亡推定時刻に近く、捜査本部はこの車が事件にかかわっている可能性があるとみている。

警察はその後も必死に捜査を続けたが、決定的な証拠や有力な情報はなく犯人特定には至っていない。

真鍋和加さんについて

・香川県立観音第一高等学校の1年生
・家族は両親と姉がいた
→それ以外の兄弟姉妹は定かではない
・X JAPAN/HIDEさんの大ファン
→音楽が好きで高校ではギター同好会に入っており、将来は音楽大学への進学を希望していた。
・楽器のキーボードを欲しがっており、その代金を自分で捻出しようと『アルバイト』を始めた。
→家から約1.3km離れた駅前にあるコンビニで、本件が発生する2ヶ月前の1997年1月半ばにアルバイトを開始した。和加さんは週に1.2回働き、程なくして目標の金額を達成したため、行方が分からなくなった日がバイトの最終日だった。

普段から和加さんが学校帰りに直接バイト先へ向かうことはなく、必ず一度自宅に帰宅して着替えてから、自転車か徒歩でバイト先に向かっていたが、この日は小雨が降っていたので姉に車でバイト先まで送ってもらった。そのため、肌寒い時期だったが和加さんはTシャツ1枚に少しの小銭とポケベルを持つのみで、財布は持ち歩いていなかった。

怪しい人物

この人物については当時から色々な噂、考察がなされていた。その中でも『通りすがりの人物』によるものとする説は少なく、『和加さんの身近な人物によるもの』とする意見が大多数をしめた。

その理由は、和加さんがアルバイトの最終日であった事から、そのことを事前に知っていた何者かによる犯行ではないかと推測されたからであった。その中でも、特に考えられるのは動機が金銭ではなく、恋愛などの『人間関係』ではないかと考えられた。

これらの状況から、和加さんが働いていたコンビニの店長が怪しいのではないかと疑われた。コンビニの店長はこの近辺出身の男性で、和加さんがアルバイトを辞めることを知っており、車も所持していた。

しかも、このコンビニの店長は本件の後に自殺している事が判明した。理由についてはわかっておらず、この店長が和加さんに対し好意を寄せていたのかどうかは定かではないが、現在考え得る中で一番有力な情報となっている。

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