犯人は女児が通う小学校のPTA会長だった

2017年3月26日6時45分頃、千葉県我孫子市北部の利根川近くに釣りに来ていた男性が、排水路脇の草むらでRちゃん(9歳)の遺体を発見した。
翌27日には自宅から約25km離れた茨城県坂東市の利根川河川敷でRちゃんのランドセルが見つかり、28日にはその周辺で、Rちゃんのものとみられる衣類などが発見された。
Rちゃんはもともとベトナム国籍で、事件当時は同県松戸市に住んでいた。だが、遺体発見2日前の3月24日午前8時頃、小学校の修了式に出席するため自宅を出たまま行方が分からなくなっていた。
自宅から学校までは約600mであったが、Rちゃんが学校に姿を現すことはなく、父親がすぐに捜索願を出していた。通学路に見守りボランティアを配置するなど防犯意識が高い街だっただけに、住民への衝撃は大きかった。
逮捕
2017年4月14日、Rちゃんの自宅から約300mの場所に住む渋谷恭正が逮捕された。
事件当日、渋谷の軽自動車が遺体発見場所に続く道近くの防犯カメラに映っていたことなどが逮捕のきっかけになった。渋谷の子どもはRちゃんと同じ小学校に通い、渋谷はそのPTA会長を務めていた。また、松戸市の少年補導員を委託され、地域の見守り活動にも連日参加していた。
動機・犯行までの経緯

地域住民からの人望も厚かった渋谷だが、元勤務先の飲食店の上司には幼い少女への性的関心を打ち明けていた。
千葉県警が渋谷のマンションを家宅捜索したところ、渋谷の性的嗜好を裏付けるように、大量の児童ポルノとみられるDVDや書籍を発見した。
見守り活動を行っていた渋谷とRちゃんには面識があったという情報があり、渋谷が直接Rちゃんに声をかけて誘拐したとみられている。
その後、渋谷はRちゃんを軽乗用車に連れ込み、ネクタイで口をふさいで無理やりわいせつな行為をしたうえで絞殺。死体を遺棄した可能性が高い。
渋谷は事件後も、普段通り見守り活動を続けていたことがわかっている。
判決とその後
2017年5月26日、千葉地検は渋谷を殺人と強制わいせつ致死、わいせつ目的略取誘拐、死体遺棄の罪で起訴した。
2018年6月4日、千葉地裁での初公判で、被告は無罪を主張したが、検察側は被告のキャンピングカー内にあったネクタイからRちゃんと同一のDNA型の唾液が検出されたことを根拠に死刑を求刑。
7月6日の判決公判で無期懲役の判決が下った。だが、無罪主張の被告側は即日控訴し、また、判決を不服とした千葉地検も控訴した。
見守り活動を行っていたPTA会長による犯行が与えたショックは計り知れない。