悪徳商法の会社社長が生放送中に刺殺。
豊田商事は1982年に会社設立当初から急速に全国展開した会社であったが、裏では被害者に純金を進め代金と引き換えに証明書を渡すだけと言う詐欺を働き、4年間で2万9千人から約2億円をだまし取っていた大組織な詐欺グループだった。
だが、豊田商事の会長である永野一男の逮捕当日に元部下である二人に襲撃され多くの報道陣やマスコミのいる前の自宅で刺殺された。その一部始終がテレビの生放送で流れると言うショッキングな事件だ。
事件概要
1980年代に現物まがい商法による悪徳商法で悪質な詐欺を働いていたのはCMまで作って詐欺集団だとバレない様ににカムフラージュまでしていた豊田商事。
詐欺にあった人の中には全ての財産を奪われ、自殺まで追い込まれてしまった被害者もいた。
永野商事に詐欺にあった被害者は数万人、被害総額は2000億円に上る巨額詐欺事件を起こした会社で社会の注目を集めていた。
1985年6月18日午後4時頃、悪徳詐欺を働いていた豊田商事の会長、永野一男の逮捕が決まった当日に、逮捕の噂を聞きつけた多くのメディア、報道関係者の前で永野は元部下である二人の男に銃剣で刺殺され救急搬送後、死亡した。
多くのメディアがその刺殺の瞬間や永野を殺す経緯の一部始終を生放送のテレビで公開したことから事件の後、読売新聞が読者投票で選ぶ1985年の日本10大ニュースに選ばれるなど世間を相当なショックに陥らせた事件である。
犯行の動機や経緯
詐欺集団の会長である豊田商事会長の永野一男が1985年(昭和60年)6月18日に大阪市北区の自宅にて『今日永野が逮捕』言う情報を聞きつけた多くの報道陣を前に永野の元部下の飯田篤郎(56)と矢野正計(30)の二人が乱入。
『もう金はええ。被害者から永野をぶっ殺してくれと頼まれた』と報道陣やマスコミの前で叫び、自宅の窓の大きな鉄格子付きの窓を『そんなもん取ってまえ!』と叫びながら強引に窓を破壊して周囲の制圧も聞かずに二人は永野の部屋に踏み込んだ。
助けを求める永野に対して『今大変なことが起きています!』と報道陣は永野を助けようとせずテレビ撮影を続行した。
二人組の一人が『お前は死刑や』と逃げ回る永野を寝室まで追い詰め、『死ね』と叫び、永野の全身13ヶ所を銃剣で刺した。
返り血で血まみれになった二人は、報道陣の前で『こいつ撮ったれ』『俺が犯人や!はよ警察呼べ!』などと叫び、しばらくして駆けつけた大阪府警天満署員に現行犯逮捕された。
永野は救急搬送されたものの、事件発生から45分後の17時15分腹部や頭部の刺突が致命傷となり出血多量でまもなく死亡。
大勢のマスコミや報道陣は二人を誰も止めようとせす、テレビで生中継していたテレビレポーターが『子供には見せないでください!』と慌てて叫んだ一面もあった。
判決とそのあと
豊田商事の詐欺事件の主犯でだった永野が殺害されてしまったため、詐欺で儲けた金の行方は分からず迷宮入りし、被害者への被害金の返済はほぼ不可能だと思われたが、弁護士による決死の働きかけで被害額の10パーセントほどは被害者に返済されたという。
永野を殺害した二人は大阪地裁で、飯田に懲役10年、矢野に懲役8年が言い渡されて控訴したが、それぞれ1989年・1990年に刑が確定した。
その後、4度再審請求するも棄却されている。