事件・事故

宇治学習塾講師小6女児殺害事件

塾講師が生徒を執拗に刺し殺害、心神耗弱認められる

2005年12月10日に京都府宇治市の学習塾「京進」で、塾生で市内の小学校に通う堀本紗也乃さん(12才)が殺害された。

犯人として当塾アルバイト講師で同志社大学法学部4年の萩野裕(23歳)が逮捕された。

犯行の経緯や動機

萩野は宇治市内の自宅で両親と3人で暮らし、中学生の頃には家庭内で暴力を振るうこともあった。

大阪府内の同大学系列高を卒業後に法学部法律学科に入学。2年からは刑事学のゼミに所属し、教職課程も受講していた。

しかし3年生の時に京都市の同志社大学今出川キャンパスの図書館で財布を窃盗、発見した警備員に体当たり等行い軽傷を負わせたとして逮捕され停学処分となり、その後復学した。

萩野は停学中の2003年11月に事件現場となる学習塾でアルバイト講師として採用された。停学中であることや経緯を塾側は把握していなかった。

2005年の3月から当事件の被害者である紗也乃さんが塾に通い始める。しかし萩野は紗也乃さんへ国語の個別指導と称して学校や塾が好きか問い、好きと答えると嘘をついているという問答を1時間20分に渡って行った。

帰宅中に紗也乃さんは泣きながら萩野の授業を受けたくないと母親に訴え、更に萩野が執拗に理由を問い質したことで紗也乃さんの母親も塾へ繰り返し相談。

萩野が担当する授業を紗也乃さんが受けないことが決まり、萩野は紗也乃さんに怨みを募らせた。

2005年12月10日に予定されていた模擬試験も、紗也乃さんとの折り合いを懸念して萩野は担当を外されていた。

事件当日、萩野は模擬試験の担当講師へ国語の受験に関するアンケートを採りたいと説明して児童と試験担当の講師を別室へ待機させた。国語の授業を受けていない紗也乃さんは教室へ残り、2人きりになったところで萩野は包丁で複数回刺して更に紗也乃さんの首に包丁を突き刺して殺害した。

犯行後に警察に電話で自供し、駆け付けた宇治警察署の警察官に現行犯逮捕された。

判決とその後

精神科医によって萩野はアスペルガー症候群であり、事件当時は反応性幻覚妄想障害で出ていたと証言。

また公判で萩野は突然叫ぶ等の行動をとった。

検察側は無期懲役を求刑、2007年3月6日に京都地方裁判所にて懲役18年の判決が言い渡された。

控訴審が開かれ、弁護側が萩野の心神耗弱を主張したため再鑑定が行われ、2009年3月24日の判決では萩野の心神耗弱状態を認定して一審の判決を破棄、懲役15年が言い渡された。検察側弁護側共に上告せず判決が確定した。

判決確定前に遺族が塾を相手に慰謝料1億3000万円等を求める民事訴訟を起こし、京都地裁は使用者責任を認めて約9800万円の支払いを命じた。

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