放浪ハーフ少年、旅先で犯行を重ね無期懲役
ハーフの少年(16才)が女性3人を暴行して殺害。金銭を奪った後に逃走。
愛知で起きた最初の事件から少年の身元は判明していたが、千葉に逃走していたため愛知県警は操作の手が及びなかった。
少年が千葉で事件を起こし、山梨で3つ目の事件が発生したことで、広域重要指定事件に指定され、同日逮捕された。
犯行の経緯や動機
少年はアメリカ人兵の父と日本人の母の間に生まれ、父親が戦死、母親が再婚の際、祖父母に預けられ、祖父母の死後伯父に引き取られる。
学校でハーフであることを理由に差別を受け、その頃から家庭内暴力が始まる。
また、店から空気銃を盗もうとして逮捕、家庭裁判所にかけられ、全寮制の中学校に送られる。
自動車修理工に就職するも無断欠勤を続け、その後、空き巣で金を盗みながら放浪生活を送る。
1966年12月13日、愛知県豊橋市の他人宅で空き巣中、妊娠9ヶ月の主婦(24歳)にみつかりその場で強姦した後に首を絞め殺害。遺体を浴槽に頭から浸け、現金2万円を盗み、千葉へ逃亡。
愛知県警の捜査で、被害者の首を締めるのに使った旅館のタオルから少年の身元が判明。しかし少年が千葉に逃げたことで操作の手が及ばない。
同年12月27日、千葉県我孫子市の他人宅で空き巣中、主婦(28歳)に見つかりその場で強姦した後に殺害。現金2万4千円を盗み、山梨へ逃亡。
死因は絞殺であったが、物差しで胸を刺されていた。隣室に生後3ヶ月の乳児が眠っていたが無事であった。
1967年1月16日、山梨県甲府市の他人宅に空き巣中、未婚女性(25歳)に見つかり、その場で強姦した後殺害。遺体の首を釣り、現金1万円を盗んで千葉へ逃亡。
1967年1月23日、広域重要106号に指定され、同日に千葉県柏市内で逮捕された。
裁判で認定されたものは窃盗30件、金額は現金333,200円であった。
公判では犯行に及んだ理由として、自分を見る彼女らの視線が憎かったからと証言している。
判決とその後
少年は逮捕後、窃盗、窃盗未遂、住居侵入、強盗強姦、強盗殺人で起訴。
当時の少年法により、18歳未満の被告人に死刑を適用することは禁止されていたため、検察は無期懲役を求刑。
1972年9月9日、千葉地方裁判所で無期懲役となり、被告の少年は控訴せず確定した。
1997年発行の宝島社のインタビューにより、大阪刑務所服役中に犯罪や闇金融関連のジャーナリストと出会い、出所後、少年の親代わりとなって面倒を見ていること、30代後半で仮出所した後、定職についていることが公表された。